主人公は竹取の翁?『竹取物語』に思うこと。
子供の小さな洗濯物をたたんでいて降って湧いた妄想は、日本最古の物語『竹取物語』の不詳の作者は子供が巣立った親なのでは?というものでした。
この古典文学は、諸説あれど、正確な作者がわかっていません。
成長が早い竹の中から産まれる、なよ竹のかぐや姫。
たった3ヶ月で3寸(約9センチ)から結婚適齢の女性に成長し、3年後には全く親の理解の及ばない遠い月の世界へ旅立ちます。
成長早すぎ、巣立ち早すぎ。
こんな感傷的な設定を思いつくのは子の自立を惜しむ親なんじゃないかなぁと思ったわけです。
しかもタイトルは『竹取物語』。
よく見たらメインは竹取の翁夫婦と看板に書かれていたという。
求婚シーンが多いので月姫妻問い物語とかでもいいのに、キャラクター設定で作者が翁に自己投影をした結果、タイトルも『竹取物語』にしちゃったように見えるのです。
求婚のシーンは創作者として筆が乗り、若かりし頃の経験に創作を混ぜて楽しく書いていそうなイメージです。
…全部私の妄想ですけれども(笑)
今とは文化背景も一般的とされる常識も違いますが、私自身、子供たちの巣立ち後に同じようなセンチメンタルな物語を書きそうだなぁと、もう着られないベビー服を縫いぐるみに着せながら思ったのでした。
植物なければ虫もない『ファーブル先生の昆虫教室』
先日3年ぶりくらいに家の周りの掃除をしました。
コンクリートの上に降り積もった落ち葉は、時を経て立派な腐葉土になっていました。
ですので、闇の眷属Gや、足がめちゃ多い例のあの虫と大バトルかと身構えて戦場に参りました(虫が苦手なのです…)。
しかし出て来たのはダンゴムシがちらりほらり。
植物が無くては虫も存在しにくい。
私はNHKテレビ番組、『100分de名著』で見た『ファーブル昆虫記』を思い出しました。
番組によると、ファーブルはライフワークである虫の観察をするために、自宅の庭にたくさんの種類の植物を植えたそうです。
知識が実感として腑に落ちる感覚は、大人になっても良いものですね。
こちらは朝日小学生新聞で連載している奥本大三郎さんの『ファーブル昆虫記』。
絵が多くわかりやすいのでおすすめです。
『ファーブル先生の昆虫教室 本能のかしこさとおろかさ』
奥本大三郎著(2016年初版)
『ファーブル先生の昆虫教室2 昆虫研究の楽しさ』
奥本大三郎著(2017年初版)
リバティプリントの魔力
あれは魔物です…美の魔物なのです…
リバティプリントは、イギリスのリバティ社(1875年創業)がデザインする薄い綿の布です。
ただし、ただの布ではありません。
手芸好きを沼に引きずり込む、魅惑的な布なのです。
昨晩、壊れた小物の補修にリバティプリントを使っていて、改めて深い世界観に感嘆しました。
「めちゃんこ綺麗で可愛いくてすごい〜」
という私の貧弱語彙で魅力は伝わらないので、頼もしい書籍を我が本棚から引っ張り出して来た次第です。
『リバティ好きの小さな幸せ』
トランテアン 玉村理恵子著(2017年初版)
京都の端の小さな手芸屋さん「トランテアン」。
マニアに知らない者はたぶんいない、1979年創業の老舗です。
リバティの魅力を知り尽くしたオーナー玉村さんが楽しみ方をご紹介くださいます。
『リバティの詩(うた)』
中村一女子(なかむら ひめこ)著(1994年初版)
タナローンと呼ばれる薄い生地を染めて作られた手触りの良いリバティプリントは、その発色の美しさと相まってとても良い手芸の素材です。
こちらは中村さんのキルト作品の写真集となります。
柄布を並べてグラデーションが作れるなんて…費やしたであろう膨大な作業量と研ぎ澄まされた色彩感覚にため息がもれます。
『10×10cm(テン・バイ・テン)のリバティプリント クラフト&ソーイング』
グラフィック社(2013年初版)
どんなに小さな端切れでも、リバティプリントはそれとわかります。
こちらの書籍は、10センチ× 10センチの小さな端切れで作ることができる小物のアイディアを余すことなく紹介してくれています。
コレクションのデザインを紹介してくださっているのも嬉しい。
こちらが昨日修理していたひざ掛けです。
お気に入りのひざ掛けに空いた穴をリバティプリント布を細く裂いた紐でかぎ針編みを施し閉じました。うんうん、悪くないぞ。 pic.twitter.com/MDkNPnHAut
— かーちゃん🍀@読書でござる (@dome_ke) 2020年8月9日
こちらは今年86になる私の祖母の作った毛糸の椅子カバーです。
経年劣化で糸が切れてしまったのでリバティプリントで補修しました。
椅子カバーの補修方法は1冊目の『リバティ好きの小さな幸せ』に紹介されていたものを参考にしています。
リバティプリントの魅力
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使っても使っても使える。
90×10センチで350円ほどする布としては高めの値段にも関わらず、あまりの美しさに新しいデザインが出るごとに買い集めてしまいます。
積ん読ならぬ、積み布。
しかもはっきりと認識できるデザインのため、どれだけ小さくなっても手芸作品のアクセントとして使用が可能です。
カゴに結んだだけですが、この存在感たるや。
- 多少雑な仕上がりでも手芸の出来が良く見える。
自作の縫いぐるみです。
どこかに小さくリバティプリントを使うだけでもワンランクアップして見え、気にいっております。
ちなみにぬいぐるみの着ている服はサイズアウトした子供たちのベビー服です。
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デザインに名前がある
デザインに名前が付いているのもリバティープリントの魅力の1つだと思います。
左から「ワンダーランド」「カペル」「ポピー&デイジー」が2枚、「マミー」です。
金属のカゴに結んであったオレンジ色のバラの花は「フェリシテ」。
たくさん種類があるので、自分や家族の名前や好きなものに関係したデザイン名もきっとどこかにあると思います。
こんっっなに使い古してボロボロになっても、なにかに使えると思って残してしまうのですよね。
しかも今回、祖母の椅子カバー補修に使えましたし。
恐ろしや、リバティプリントの魅力。
岩波新書100刷本責めで脳内麻薬を出したい
タイトルがMっ気全開ですが余り間違ってはおりません。
M気味の私は先日、オフィスFTIヤマモト様と岩波新書様がTwitterでつぶやいておられた100刷以上重版されている岩波新書を見て悶えました。
ああ…時代に磨かれた珠玉の知性で愚かな私を踏みにじって…
あの、長年の疑問が本を読むことによって氷解した時。
全く違う2つの概念が新しい概念を学ぶことによってつながった時。
特に、私の愛するアニメやライトノベルや漫画の本ネタが深遠なる思想によって構成されていることがわかった時。
自己の経験と他者の知識の化学反応が起こり、私の脳内で大量のアドレナリンが放出されるのです。(たぶん)
きっと100刷越えの新書たちならば私を天国へ誘ってくれると信じております。
…新しい本を買ったという自慢話でございますよ、うふふ。
岩波新書編集部 on Twitter: "岩波新書の刷数ランキング。1位は『零の発見』。先日100刷となった『知的生産の技術』は7位。 https://t.co/RJefI0JMbT"
そして今日は長崎の原爆記念日ですね。
時間は正午きっかりだったでしょうか。
また子供達と一緒に黙祷をしようと思います。
追記
原爆投下時間は11時2分でした!!!
危なかった…黙祷時間に遅れるところでした。
幼児〜小学校低学年の学習面の本
おはようございます。
「これでいいのか、本当に大丈夫か」
と育児・教育に迷走していたころに読んだ学習関係の書籍をご紹介致します。
今も五里霧中です。
全体的に少し古く、数年〜十数年前の本になります。
生活面はこちらです。
乳児から小学生の子供の生活についての育児本 - 読書でござる🍀
『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』
おおたとしまさ編 2013年初版
著者 荒俣宏、内田樹、瀬戸内寂聴、坂東真理子、福岡伸一、藤原和弘、茂木健一郎、養老孟司
8名の著名な識者にズバリ「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」と聞いてみた本です。
ユニークなことに、同じ内容の文章が「子供用」と「大人用」にそれぞれ難易度を変えて書かれています。
この本とは図書館で出会い、手元に置いておきたくて取り寄せました。
「勉強」という概念に対する思想書としてとてもお気に入りですが、具体的に学習面を強化する方法などはありません。
『「親力」で決まる!子供を伸ばすために親にできること』
親野智可等(おやのちから)著
2004年初版
著者のメールマガジン「親力で決まる子供の将来」に掲載した文章を読みやすく編集し1冊にまとめたものが本書です。
専門家でないので断定はできないが片付けが出来ないのは生まれ持ったもののように思う、早期教育についてはいろいろ考慮したうえで積極的にやるべきだ、など、16年前に書かれたとは思えないほど新しい考え方です。
当時必死に読んだのか、書き込みがいっぱい…
『小学生の学力は「ノート」で伸びる!』
親野智可等(おやのちから)著
2009年初版
小学校の授業で使うノートを上手に使うことを目的として書かれた本です。
筆者の23年間の教師生活経験が活かされた具体的な方法が魅力的。
ノートの取り方に困っている方はオススメ。
『小学生の学力は「教科書」中心学習でグングン伸びる!』
親野智可等(おやのちから)著
2010年初版
小学校の教科書をより深く勉強することを想定して書かれた本です。
中学受験用ではありませんが、丁寧で分かりやすく好感が持てます。
小学校の先生の授業の参考にもなるかもしれません。
『自分からどんどん勉強する子になる方法』
杉渕鐵良著 2015年初版
作者のイメージしている家庭像が最近のものに近く共感できます。
具体的なメソッドも多く、子供の家庭学習を強化したい方にオススメできます。
『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』
松永暢文著 2006年初版
ターゲットを明確にしてくれているのはありがたいのですが、いささか時代が感じられるタイトルです。
読み返してみたら「オチンチン力(男の子のチョロチョロする能力のこと)」はいいとして「口だけオババ」「東大神話」「社会を守るのはマジメな男たちですが、未来を創るのは、オモロイ男たち」などの言葉のチョイスはあまり好みではないかもしれません。
『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』
松永暢文著 2014年初版
10歳までの読書量をどうやって増やすか。
それは親の読み聞かせである、と言うのがこの本です。
厳選された145冊の本が紹介されていてこちらは好きです。
『暗算・算数に遊びながら強くなる びっくりサイコロ学習法』
松永暢文著 (2011年初版)
サイコロはおもちゃ箱の奥深くに沈んでしまったので見つかりませんでした。
きょうだいでよく遊びました。
『小3までに育てたい算数脳』
高濱正伸著 2005年初版
前半の子供たちの算数の力についてのお話は納得できるところも多いのですが、後半の子供を伸ばす親についての記述があまり好みではありませんでした。
基本的に家庭というものを父親がサラリーマンで母親が専業主婦という一昔前の構図で捉えておられるようです。
父親は母親だけに任せきりにせず…と言うのは賛成ですが、家庭の形は今日もっと色々あるのではないかと引っかかってしまいます。
以前読んだ時はそうでもなかったのに、今読み直すと違和感に首をひねる本が多かったです。
10年も経つといわゆる一般的な家庭像と言うものも私の考え方もガラッと変わってしまうものなのだなと思いました。
何かのお役に立てましたなら幸いです。
『本の世界をめぐる冒険』ナカムラクニオ著 2020年初版
おはようございます。
最近『学びのきほん』というシリーズがNHK出版から刊行されています。
オシャレなデザインです。
気になって本屋さんでチラッチラッと見ていたのですが、このたび気になるテーマを見つけてウキウキと購入。
2冊買ったのですが2冊ともとても読み応えがありました。
もう1冊はこちら。
世界の知られざる本の歴史
我が家に『本の歴史5000年』(辻村益朗著、初版1989年)という絵本があります。
写真や図がたくさん使われた子供向きの本なのですが、本と言うモノについて書かれた書籍ではこちらが1番情報量が多いと思っておりました。
ですが、『本の世界をめぐる冒険』はこの絵本よりなお詳しい。
さらに、現代の私たちには信じられませんが、エジプト人は何かを記憶するときに、パピルスに書いた文字を海面で消し、その消したインクの入った水を飲む慣習があったのです。漫画「ドラえもん」に「暗記パン」と言う秘密道具が登場します。これは主人公のび太が暗記したいことをパンに書いて食べて覚えるものですが、同じようなことをエジプト人も実際にやっていたなんて、面白い偶然です。
の、飲む…?
記憶と言うものがどのようにして行われているかがわからない時代なりの、知識と一体になる儀式なのだなぁと思いました。
古代ギリシャの哲学者ソクラテス(BC 469からBC 399)は、ある人から「先生はどうして書物をお書きにならないのですか」と尋ねられたとき、「尊い知識を、生きた人間の頭脳から、死んだ獣の皮の上に移すのが嫌だからだ」と答えたと伝えられています。
討論大好きソクラテス先生的には書籍化がめんどくさかったのでは…?
いやいや、今とはいろいろ事情も違うので一概に決めつけてはいけませんね。
現代における紙の原材料のパルプがスズメバチの巣から生まれたと言うのも面白いエピソードでした。
本の未来
この『本の世界をめぐる冒険』では本を「人と情報をつなぐ記録媒体」と定義しています。
科学技術の発達や人間の文化の変化によって柔軟に形を変えるのが本なのです。
100年ぶりの疫病流行により人間が生活様式を変えざるを得ない中、本もまた大きく変化する時なのかもしれません。
ただ、どのような形になったとしても、やっぱり人間は本が好きなのだろうなぁと思うのでした。
『「読む」って、どんなこと?』
おはようございます。
こちらは先日ツイッターで書いた本の感想の記録になります
NHK出版 学びのきほん
高橋源一郎著 2020年初版
「読む」って、どんなこと?/高橋源一郎著良かった。
読むは社会や他者について知ることなのかなと思った。
鶴見俊輔さんの晩年の脳梗塞で喋らず書かずしかし読書だけは続けて亡くなる生き方が印象的。
あと国語の教科書から武田泰淳著『審判』の流れで『空気の研究』を連想して寒くなる。
今も昔も国語教育は読み方を教える事ただそれだけで(教育者がどれだけ反逆したとしても)共同体への服従と表裏一体?
飛躍しすぎか。もうチョイ考えよう。
私は子供に“人を殺して死ねよ”と教えたくはないと強く思う。
「読む」って、どんなこと?/高橋源一郎著
— かーちゃん🍀@読書でござる (@dome_ke) 2020年7月20日
良かった。読むは社会や他者について知ることなのかなと思った。鶴見俊輔さんの晩年の脳梗塞で喋らず書かずしかし読書だけは続けて亡くなる生き方が印象的。 pic.twitter.com/IkemqPp0gP
あと国語の教科書から武田泰淳著『審判』の流れで『空気の研究』を連想して寒くなる。今も昔も国語教育は読み方を教える事ただそれだけで(教育者がどれだけ反逆したとしても)共同体への服従と表裏一体?飛躍しすぎか、もうチョイ考えよう。私は子供に“人を殺して死ねよ”と教えたくはないと強く思う。 pic.twitter.com/yXblevT5dl
— かーちゃん🍀@読書でござる (@dome_ke) 2020年7月20日
『学びのきほん』シリーズ、2時間あれば読めちゃうんですが次に読んだ『本の世界をめぐる冒険』もとても良かったです。
柔らかな易しい言葉で書かれていますが濃くて重く読み応えがあります。
ところで今日は広島の原爆投下の日ですね。
幼稚園前に8:15から子供達と黙祷の予定です。
亡くなられた方の御冥福と戦争のない世界を切にお祈り申し上げます。