『本の世界をめぐる冒険』ナカムラクニオ著 2020年初版
おはようございます。
最近『学びのきほん』というシリーズがNHK出版から刊行されています。
オシャレなデザインです。
気になって本屋さんでチラッチラッと見ていたのですが、このたび気になるテーマを見つけてウキウキと購入。
2冊買ったのですが2冊ともとても読み応えがありました。
もう1冊はこちら。
世界の知られざる本の歴史
我が家に『本の歴史5000年』(辻村益朗著、初版1989年)という絵本があります。
写真や図がたくさん使われた子供向きの本なのですが、本と言うモノについて書かれた書籍ではこちらが1番情報量が多いと思っておりました。
ですが、『本の世界をめぐる冒険』はこの絵本よりなお詳しい。
さらに、現代の私たちには信じられませんが、エジプト人は何かを記憶するときに、パピルスに書いた文字を海面で消し、その消したインクの入った水を飲む慣習があったのです。漫画「ドラえもん」に「暗記パン」と言う秘密道具が登場します。これは主人公のび太が暗記したいことをパンに書いて食べて覚えるものですが、同じようなことをエジプト人も実際にやっていたなんて、面白い偶然です。
の、飲む…?
記憶と言うものがどのようにして行われているかがわからない時代なりの、知識と一体になる儀式なのだなぁと思いました。
古代ギリシャの哲学者ソクラテス(BC 469からBC 399)は、ある人から「先生はどうして書物をお書きにならないのですか」と尋ねられたとき、「尊い知識を、生きた人間の頭脳から、死んだ獣の皮の上に移すのが嫌だからだ」と答えたと伝えられています。
討論大好きソクラテス先生的には書籍化がめんどくさかったのでは…?
いやいや、今とはいろいろ事情も違うので一概に決めつけてはいけませんね。
現代における紙の原材料のパルプがスズメバチの巣から生まれたと言うのも面白いエピソードでした。
本の未来
この『本の世界をめぐる冒険』では本を「人と情報をつなぐ記録媒体」と定義しています。
科学技術の発達や人間の文化の変化によって柔軟に形を変えるのが本なのです。
100年ぶりの疫病流行により人間が生活様式を変えざるを得ない中、本もまた大きく変化する時なのかもしれません。
ただ、どのような形になったとしても、やっぱり人間は本が好きなのだろうなぁと思うのでした。