積読が山脈でござる🍀

拙者、四児母オタク主婦。積読本記録と妄想感想文でござる。育児や教育の本が多いです。

『フィリップ・マーロウの教える生き方』レイモンド・チャンドラー著、マーティン・アッシャー編、村上春樹訳

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表紙に一目惚れ買いです。

茶店でコーヒーを飲みながら探偵マーロウを読む。

うむ、良い。かっこいい。

(結局寝かしつけ後にお家で読んでますが、それもまた良し。)

概要

こちらの本はフィリップ・マーロウシリーズの名文集になります。

訳は村上春樹

名文の抜粋のみで、話の筋は分かりません。

ネタバレは大丈夫だと思います。

法律は正義じゃない。それはきわめて不完全なシステムなんだ。もし君がいくつかの正しいボタンを押し、加えて運が良ければ、正義が正しい答えとしてあるいは飛び出してくるかもしれん

ロング・グッドバイ

 

トーストされ、二本の楊枝でとめられ、レタスがわきからはみだしていれば、アメリカ人はどんなものだって文句を言わずに食べる。そのレタスがほどよくしなびていれば、もう言うことはない。

ロング・グッドバイ

 

サルビアの匂いが谷間から風に乗って上ってきて、死んだ男と月のない夜のことを私に思い出させた。

『さようなら、愛しい人』

 

「これほど厳しい心を持った人が、どうしてこれほど優しくなれるのかしら?」、彼女は感心したように尋ねた。

「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」

『プレイバック』

おお~!かっこいい~!

掲載されていなかった名言

「さよならをいうのは、少しだけ死ぬことだ」

ロング・グッドバイ

 

ギムレットを飲むには少し早すぎるね」

ロング・グッドバイ

 

撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ。 

『大いなる眠り』(こちらのみ清水俊二訳)

上記3つも有名ですね。

アニメ『反逆のルルーシュ』ファンとしまして最後のは外せません。

ところで「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ。」の村上春樹訳は「ただしもっと射撃がうまくなるまで、人を撃つのは控えた方がいい。それが忠告だ。覚えたかい?」です。

原文が

 The only ones who should kill are those who are prepared to be killed.

なので、村上訳の方が英文の意味は近いと言えます。

瞳の色がdarkになる

先日、瞳がdarkになるというツイートを読みました。

ここの原文はきっとdarkじゃないかな?と思った箇所です。

彼の瞳はそれくらい深かった。またそこには表情というものがなかった。そして魂を欠いていた。

『さようなら、愛しい人』

原文はプロジェクトグーテンベルクで読めるか調べましたが、有料のkindle版しか見つからなかったので断念しました。残念‥‥。

↓こちらは瞳の明度つながりで気になった、

エドガー・アラン・ポーの詩『ユーラリー』。

 感情の変化にともなって色が変わる瞳、素敵ですね。

シャーロック・ホームズへのリスペクト

マーロウシリーズの『リトルシスター』にはこんな描写が。

332号室は建物の裏手に面し、非常階段に通じるドアの近くにあった。

『リトルシスター』

この本だけではマーロウの部屋かどうか分からないのですが、332という数字からホームズシリーズへのリスペクトがうかがえます。

332-111=221

イカーストリートにあるホームズの部屋は221Bです。

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ひと言

名言集は既読の方が思い返して楽しむものかと思っていたのですが、未読でも十分に楽しめました。

また、この名文がどのように本文中で使用されているのか、読んでみたくなりました。

こんな紹介の仕方もあるんだな、と目からうろこ。

‥‥ということで、オーディオブックで村上春樹訳、早乙女太一朗読(ここも重要)ロング・グッドバイを購入。

聞くぞ〜楽しみ〜!

フィリップ・マーロウの教える生き方
 
ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ