積読が山脈でござる🍀

拙者、四児母オタク主婦。積読本記録と妄想感想文でござる。育児や教育の本が多いです。

5分で『ファクトフルネス』。ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド(2019年初版)

20200827

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 私の最推し癒し本です。

日本語版2回、英語版1回通しました。

下の可愛いわんにゃん写真同じくらい癒されます、本気です。

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基本情報

  • 世界的ベストセラー *1
  • 現実のデータに基づく視点から見た国際問題について、世界は少しずつ良くなっているよ、と書いてある。
  • 他書と比べて参考文献が多い。データのソースがたどりやすい。
  • ハンス・ロスリングは公衆衛生学を専門とする医師であり統計学者。息子夫婦と「ギャップマインダー」を設立。2017年、すい臓がんで亡くなる。
  • ビル・ゲイツが2018年大学卒業の希望者全員にこの本を配布した。*2

 

目次

第一章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み

先進国と発展途上国のように、「あの人たち」と「私たち」で世界を二分することは出来ない。

分断された構図は理解しやすいが、それは事実とは違う。世界の大半がその中間層にいる。

世界はもっと複雑である。

新しい認識の方法として収入によって4分割する方法を提案したい。

文化の違いより収入の量の方が生活の仕方を決める要因になるからだ。

最貧困のレベル1はどの国のどの文化でも地面に寝るしかない。

また富裕層のレベル4ではどの国のどの文化でも、お湯は鉄瓶で火を起こして沸かさずティファールのような電気ケトルを使う。

 

第二章 ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み

ネガティブなニュースはいいニュースより圧倒的に目立つ。

極度の貧困の中で暮らす人々の割合は1966年は50%だった。

今は?変化なし?悪化している?

実は2017年には9%に激減している。貧困が撲滅されていないのはよい結果とは決して言えないが、改善されいるのも間違いはない。

悪化はしてないのだ。

 

第三章 直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み

世界の人口は直線的にひたすらに増え続け、食糧、エネルギーなどの問題も増加すると思ってはいないだろうか。

誕生する子供の数のグラフはすでに横ばいであり、2017年の世界人口は76億人だが、2100年ごろには100~120億人で安定するというのが国連の人口学専門家の見解だ。

統計のグラフにはいろいろな形がある。

直線ばかりだと思い込まず、S字カーブ、釣り鐘型など、どれに当てはまるか考えよう。

 

第四章 恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み。

恐怖と危険は違う。

今自分の国で蛇の毒で死ぬ確率は?飛行機事故は?テロや戦争では?核兵器放射線被ばくは?

どれだけ自分が危ないかというリスク(=危険度×頻度)を考える。

 

第五章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み

数字は必ず他のデータと比較する。

2018年、世界で420万人の赤ちゃんが亡くなった。

これは「悲劇的な悪化を示す事」なのか。

答えはNO、1950年は1440万人である。

悪化か改善かは、前後の数字が無いと決して判断できない。

 

第六章 パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み

パターンやステレオタイプに当てはめて判断しない。

例えば「建てかけた途中の家」に住む人々を見た時、資金や建築業者など計画に問題があったと思ってしまわないだろうか。

自国ではそうでも他国では違う場合がある。

チュニジアでは、銀行口座を開けない、インフレでもレンガは価値が下がらない、などの理由から、貯金ではなくレンガを買う。

そして盗まれないように家を少しずつ作っていく。

こうして「建てかけた途中の家」が出来上がる。

自分以外は愚かだと決めつけず、その状況では最適解かもしれないと考えて行動する。

 

第七章 宿命本能「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み。

特定の価値観や振る舞いが文化に根差していて、変わらないし変えることができないと思いんでしまう。

人も国も宗教も文化もゆっくりと必ず変化する。

人権に敏感なスウェーデンも1960年代は中絶は違法だった。

韓国や日本の「男児の流儀」だと言って子供や両親の世話を妻にさせる男性たちも、変わらないことがあるだろうか。

 

第八章 単純化本能「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み

一つの視点だけでは世界は理解できない。

活動家や専門家は自分の専門知識だけですべてを解決できると思いこみがちだ。

気候変動の活動家は太陽光発電に関することならなんでも口を出したがるし、医師は予防より治療を勧めてしまうことがある。

 

第九章 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み

犯人よりもシステムに注目しよう。

誰かを責めると他の原因に目がむかなくなり問題をくり返すだけだ。

製薬会社が資金回収の難しい薬の研究をしないのは、取締役たちの責任だろうか。

上場企業の場合意思決定権は株主にあり、例えばノバルティスの場合、株主は退職年金基金が多くを占める。

長年勤め上げた会社をリタイアしたおじいちゃんおばあちゃんが、世界を苦しめる犯人なのだろうか?

 

第十章 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

焦り本能は世界の見方を歪める最悪の本能であり「なんでも良いから今すぐ」や「もうあきらめよう」と愚かな判断をしてしまう。

今では「コンゾ」と呼ばれる未知の病気がモザンビークのメンバで流行した時、著者は市長の都市ロックダウンを止めなかった。

メンバの道路は封鎖され、バスが来ないと船で迂回した母子とその船の漁師は溺死する事件が起こった。

しかしその後の研究によって「コンゾ」はキャッサバ(タピオカの材料)の未処理の毒が原因であり、感染症ではなかった事が判明した。

時期尚早な判断が取り返しのつかない結果を招くことがある。

複雑な問題を解決する対策は、たいてい副作用がある。

焦りで決めず、効果を観測して確かめるのが重要である。

 

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 ひと言

良い本なのでいっぱい語りたいけれど(たまに崩れる言葉使いとかツッコミどころも)だからこそ要点だけにしてみました。

ハンス・ロスリングの自伝とも遺言とも読める名著です。

妄想感想文の記事も書きたいです。

読んで〜!超読んで〜!

 

 

*1

2020年8月現在アマゾンレビューが日本語訳で2400越え、英語原書で3600越え。

産経新聞によると販売冊数は全世界で200万部。

https://www.google.co.jp/amp/s/www.sankei.com/life/amp/200418/lif2004180020-a.html

 

*2

ビル・ゲイツがこの本を大学生に無料で電子版を配布。

フォーブスジャパンのこちらの記事から。

ちなみにハンス・ロスリングはビル・ゲイツの友人だった。

https://forbesjapan.com/articles/detail/21464/1/1/1