積読が山脈でござる🍀

拙者、四児母オタク主婦。積読本記録と妄想感想文でござる。育児や教育の本が多いです。

『思考の整理学』と“本当の教育”

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外山先生の訃報。NHKニュースTwitterより

 

まずは、外山滋比古先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

『思考の整理学』

先日、子供の国語問題集に『思考の整理学』と『ことわざの論理』が出題されました。

 

その文章の何かが印象的で、その日、平積みになっていた『思考の整理学』を書店で購入したのでした。

 

思った以上に面白く、マルジナリア(余白書き込み)だらけになっています。

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途中ではありますが、思ったことがたくさんあるので、まずはIとIIを読んだ感想を書いてみたいと思います。

 

 

意欲のない学生に悩む先生

『思考の整理学』は「グライダー」の話題から始まります。

 

 

「最近の学生はグライダーのように受動的で

自分で好奇心を持って学習をすることができない。

自分で食べない人間はコンピューターに仕事を奪われるだろう」というもの。

 

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(古い。)というのが私の直後の感想です。

 

名著と名高い『思考の整理学』が「最近の若いもんは」で始まるなんて…。

 

正直なところ読むのをやめようかと思いました。

 

「不幸な逆説」まで読み進めて、ふと、

これはゆとり教育詰め込み教育のはざまで

本当の教育について悩んだ1人の教師の結論なのではないかと思ったのです。

 

そこで、遅まきながら、詰め込み教育への反省が起こる。グライダー訓練の弊害が注意されるようになったのである。詰め込みがいけないのではない。意欲を削ぐ詰め込みが悪いのである。

 

唐突に強い興味が湧きました。

 

2020年現在、日本人の学力低下の根源のように言われる「ゆとり教育」。

 

彼がこれを書いた時、どうやら「ゆとり教育」は、自ら好奇心を持って学ぶ子供を育む制度だと思われていたようすです。

 

子供はいったいどのように教育するのが望ましいのか。

 

第1子を出産してからの私自身の大きなテーマでもあります。

 

 

「ゆとり」と「詰め込み」の変遷

実は、戦後すぐの日本は「ゆとり教育」から始まりました。

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池上彰の「日本の教育」がよくわかる本』(池上彰著2014年初版)によりますと、学習要領はこのように変化しています。

 

1947年 

戦後GHQ指導のもと、アメリカ型のゆとり教育導入

 

1958年

知識不足が問題視され、詰め込み教育

 

1977年

「学校にゆとりを!」ゆとり教育を目的として授業時間だけ減。結果過密な詰め込み教育に。

 

1989年

「自ら学び、自ら考える」ゆとり教育をすすめる。

中学校では選択科目が増え、小学校では生活科が発生。

ウサギを飼いアサガオを育てるようになる。

1992年から学校週五日制が漸近的に進められる。

 

1998年

ゆとり教育推進。学校週五日制に合わせて、学習内容を3割削除

 

(2004年のPISAの成績が2000年より低かったことで騒ぎが起こる。「PISAショック」)

 

2008年 

PISAの成績を受けてか、脱ゆとり教育へ。

 

 

外山先生流・脱グライダーのアドバイス

外山先生が『思考の整理学』を上梓したのは1983年。

 

ゆとり教育とは名ばかりの過剰な詰め込み教育を反省し、試行錯誤を重ねていた時期にあたります。

 

学生は、引かれないと飛べないグライダーではなく、自ら推進する飛行機であれ。

 

外山先生の「飛行機能を持つ学生」は「積極的にテーマを決めて良い研究論文が書ける者」としています。

 

その為には

  • 興味が湧くよう、教え惜しみする。

 

  • 起きてすぐの朝が活動効率が良い。

 

  • アイディアは時間を置いて発酵させる。

 

  • カクテルのように編集を工夫する。

 

  • 個性を出さないようにする。

 

 

とアドバイスが挙げられています。

 

上記はⅠ〜Ⅱの内容です。

 

Ⅲ以降も期待して読み進めていきたいと思います。

 

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