『窓ぎわのトットちゃん』withちひろ美術館写真
20200907
友人のすすめで『窓ぎわのトットちゃん』を読んでみました。
懐かしい〜!小学生の時以来です。
昨年ちょうど「安曇野ちひろ美術館」に行ったのでその写真も載せてみました。
【『窓ぎわのトットちゃん』とは】
1981年に黒柳徹子さんが上梓した自伝です。
「トットちゃん」は黒柳徹子さんの愛称です。
このお話は、トットちゃんの通ったトモエ学園での、小学1年生から4年生のエピソードを散りばめてあり、まるで童話のような世界観です。
30ヶ国以上で翻訳され、1985年にはポーランドの児童文学賞「ヤヌシュ・コルチャック賞」を受賞しています。
今までに800万冊販売され戦後最大のベストセラーと言われています。*1
【黒柳徹子さん】
説明は要らないですね。
国民的人気を誇る日本の大女優です。
トットちゃん出版の影響か1984年にユニセフ親善大使を務められています。
ちなみに大ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』の印税は全額寄付され、社会福祉法人トット基金を設立されています。
【あらすじ】
トットちゃんは小学一年生の女の子。
あまりに落ち着きがない為に赤松尋常小学校を退学になります。
物語はトモエ学園に途中入学の面接に行くところから始まりまるのです。
そこで出会った友達と、心優しい小林宗作校長先生に見守られ、トットちゃんは楽しいのびのびとした生活を送ります。
…「トモエ学園」が空襲の戦火に焼かれるその日まで…。
【私的おもしろポイント】
〈トットちゃんはお嬢様〉
私の記憶では、一昔前のいわゆる「どこにでもいるふつうのオンナコ」というか中流家庭出身のイメージだったトットちゃん。
よく読んでみると、お父さんはヴァイオリニストでコンサートマスター。
作中に書かれてはいませんが、黒柳徹子さんのお母さんはエッセイストでした。
お家は(戦前とはいえ)東京の自由が丘の一軒家。
ロッキーというシェパード犬も飼っています。
縁日でひよこを買った次の日に大工さんに頼んで桟のついた特別の箱を作ってもらい中に電球を入れて温めたそうです。
この時代で考えると、中流家庭の女の子というよりハイソなお嬢様な気がします。
またトモエ学園でさえ目立つトットちゃんのとっぴな行動にも辛抱強く付き合うお母さん。
戦時中の日本では体罰も珍しくなかったと記憶していますので、当時としては大変新しい考え方を持っていたと思います。
令和でも十分に通用する育児ではないでしょうか。
〈地名〉
昔は分からなかったのですが、今読むと舞台となっている地域もしっかり書いてありますね。
列挙してみます。
赤松尋常小学校
大井町の操車場から運ばれてくる電車
洗足池
大井町線の緑ヶ丘駅
田園調布…などなど。
〈著名人〉
家柄なのか、著名人と交流があるトットちゃん。
こちらも列挙してみます。
ヨーゼフ=ローゼンシュトック
シュナイダー*2
石井漠
田口修治
山内泰二
〈小林宗作の教育方針〉
私立トモエ学園の校長先生は小林宗作といい、実は日本幼児教育における「リトミック」普及に大きく貢献した一人です。
リトミック提唱者ダルクローズに、直々に教えをこい、トモエ学園の教育に取り入れています。
また小林先生の教育方針も斬新です。
何しろ、1時間目が始まる時に、その日、1日やる時間割の、全部の科目の問題を、女の先生が、黒板いっぱいに書いちゃって、
「さあ、どれでも好きなのから、始めちゃって下さい。」
と言ったんだ。だから生徒は、国語であろうと、算数であろうと、自分の好きなのから始めていっこうに、構わないのだった。だから、作文の好きな子が、作文を書いていると、後では、物理の好きな子が、アルコールランプに灯をつけて、フラスコをぶくぶくやったり、何かを爆発させている、なんて言う光景は、どの教室でも見られることだった。
決められた課題をこなせるなら、順番や時間は問われないのです。
しかも課題が午前中に終わったら午後からは散歩に行けるのです。
ひとつだけ。男女みな水着なしでプールで泳ぐのは、今の時代にはそぐわないかもしれません。
そういえば今、うちの子も、幼稚園でリトミックを楽しんでいます。
小林宗作先生のおかげですね。
〈ざっくり年表〉
1930年 シュナイダー、スキー教授の為来日。
1937年 小林宗作がトモエ学園を創設。トットちゃんは4歳。
1939年 シュナイダー、アメリカへ亡命。
1940年 トットちゃん7歳。赤松尋常小学校退学、トモエ学園入学。
1944年 東京大空襲によりトモエ学園消失。
〈安曇野ちひろ美術館〉
『窓ぎわのトットちゃん』の挿し絵は画家いわさきちひろの手によるものです。
いわさきちひろは『窓ぎわのトットちゃん』が出版される7年前に他界しており、黒柳徹子さんの希望で、いわさきさんの遺稿の中から挿絵を選んでいます。
そして、長野県の安曇野は、いわさきちひろ所縁の地であり、現在こちらに安曇野ちひろ美術館があります。
使わなくなって譲り受けた電車でトモエ学園を再現しています。
電車の図書室も再現されています。
ここで勉強できたら楽しいだろうなあと思いました。
〈まとめ〉
トットちゃんはいいぞ…
岩波文庫大収穫!
全部1冊100円〜200円くらいでホクホクです♪
ところで私は「子供に教える」が大きなテーマなので「教育」とタイトルに付いてると買いたくなります。
ちょうど幼児教育の父と言われるフレーベルの本を探していまして、
↑これを発見。
やった!安く手に入ったー!
昔の版でフレーベルがフロベール
になってるけど内容が同じなら問題ないね!
私は『感情教育』をレジに持って行きました。
そして後日私は、新刊の売っている書店に行き、岩波文庫の本棚に下記の本を見つけるのです。
ん?
あれ?
本のタイトル違うかも?
しかもフレーベルって書いてある??
そう、なんと、フレーベルとフロベールは
まったくの別人でした。
そしてフロベール『感情教育』は、フランス二月革命前後を舞台にした青年と人妻の恋愛物語。
ちがうねん…!
知りたいのは幼児教育であって、
恋愛教育じゃないねん…!orz
でも面白そうなので読んでみます。
ここ最近腰が痛くて椅子に長く座れません。
パソコンの前にも座れないので、ブログの画像の大きさ調節が出来ず悲しいです。
また腰が治ったら読みやすいサイズに変えるつもりです。
うわーん(´;Д;`)
『哲学用語図鑑』田中正人著
20200910
マイお助けアイテムです。
分からない事があったらこれで調べます。
かなりひんぱんに開きます。
古代から現在までの哲学者とその考え方のキーワードを分けて説明してくれています。
例えば…
プラトンと
キーワードがたくさんあれば、そのぶんページが割かれています。
人物紹介+1キーワードという哲学者もいます。
年表もあります。
先日読んだ『ペストの記憶』によると1665年がロンドンでペストが流行した年でした。
デフォーは5歳でしたが、ロックやホッブズ、スピノザやライプニッツはロンドンのペストの影響を少なからず受けたんだろうなぁとこの年表で妄想できます。
分かりやすいのでオススメです。
『ペストの記憶』&『ペスト』比較。ダニエル・デフォー著
せっかく両方購入したので比較してみようと思います。
『ペストの記憶』武田将明訳
『ペスト』平井正穂訳
どちらもダニエル・デフォー『A journal of the plague year』(1722)の完訳です。
【『ペストの記憶』&『ペスト』比較】
〈新旧〉
『ペストの記憶』は2017年、『ペスト』は1973年に出版。
44年の差があります。
〈値段〉
『ペストの記憶』が税抜き3,500円、『ペスト』は税抜き1,200円です。
約3倍の違いがあります。
〈装丁〉
『ペストの記憶』はハードカバー、『ペスト』は文庫本です。
〈シリーズ物〉
『A journal of the Prague year』はシリーズ物ではありませんが、『ペストの記憶』は研究社より出版されている『英国十八世紀文学叢書』の第3巻になります。
↑『100分de名著 デフォー ペストの記憶』広告ページ
ちなみに叢書(そうしょ)は本のシリーズのことだそうです。
勉強になるでござる。
〈文章構成とレイアウト〉
『ペスト記憶』はエピソードごとにタイトルをつけて区切ってあります。
↑『ペストの記憶』目次。
↑『ペストの記憶』p126-127
実は原作には章立てはなく、したがって長編ながら区切りはありません。
原作のままの構成の『ペスト』も、440ページのうち区切りは数個です。
上記の『ペストの記憶』と同じ場面です。
↑『ペスト』p186-187
法令も住民のエピソードも主人公の気持ちも同じように書かれていて、これが思ったよりも読みづらい印象です。
例えばロンドン市からのペスト対策令。
↑こちらは『ペストの記憶』。p48-49
↑こちらが『ペスト』。p76-77
章立てとレイアウトでこんなに読みやすさが違うんだなぁと思いました。
〈地図〉
『ペストの記憶』『ペスト』ともに詳しい地図が載っていますが、
『ペストの記憶』は出版社のサイトで赤いグリッド線の入ったPDFの地図データを無料配布されています。
↑プリントアウトしたもの。リンクです↓
デフォー『ペストの記憶』(研究社)を読まれる方へ。本書の初めに、資料として当時のロンドンの地図が載っています。ただ、項目があまりに多く、特定の街路・建物を見つけるのが難しいため、座標つきの地図をウェブ上にアップしました。次のリンク先の右端をご覧ください。https://t.co/NQcLYpJ1IZ
— 武田将明/Masaaki Takeda (@swiftiana) 2020年4月20日
ただ、私のスマホ(iPhone 7)からでは赤いグリッド線が出ませんでした。
パソコンから印刷する必要があります。
〈写真〉
↑『ペストの記憶』には筆者が2012年に取材した際の写真が3枚掲載されています。
『ペスト』には写真はありません。
〈挿画〉
『ペストの記憶』にはイラストはありません。
『ペスト』はレズリー・アトキンソン*1作の挿画が5枚ほどあります。
銅版画のようなタッチの絵です。
〈まとめ〉
今回、翻訳の質については比較していません。
私などが専門家を比較評価するなど、おこがましいと思ったからです。
なので書籍の見た目のみの比較となります。
『ペストの記憶』は『ペスト』と比べて価格は高いのですが、レイアウトと文章構成が工夫してあり、読みやすく出来ています。
図書館でどちらも借りれるなど価格を考慮しないでいいなら『ペストの記憶』をお勧めします。
〈こっそりおまけ〉
…完訳でなくあらすじでいい、専門家の解説も欲しいというあなたへ。
現代の写真5点、解説図、翻訳家の解説もあり、レイアウトは工夫されて読みやすい本があります。
『100分de名著 デフォー ペストの記憶』(武田将明著)です。
なにより、価格が税抜き524円なのです・・・。
Yet I alive!『ペストの記憶 100分de名著テキスト』武田将明著(2020年初版)
デフォーtheモンスター!
書かれたペストについても怖かったのですが、それよりもデフォー自身の混沌とした怪物的生命力がギラギラと輝いていました。
”Yet I alive!”「それでもぼくは生きている!」と。
【著者プロフィール】
武田将明(たけだ・まさあき)
英文学者、東京大学准教授。
1974年、東京都生まれ。
専門は18世紀イギリス小説。
東京大学大学院人文科学系研究科を得て、ケンブリッジ大学でPh.Dを取得。
現在、東京大学総合文化研究科準教授。
2008年に「囲われない批評 東浩紀と中原昌也」で第51回群像新人文化賞評論部門を受賞し、日本の現代文学についても批評活動を繰り広げている。(100分de名著より)
【『ペストの記憶 100分で名著テキスト』の概要】
このテキストではデフォー『ペストの記憶』を4回に分け、それぞれのテーマで読み解いています。
第1回は「パンデミックにどう向き合うか?」。
第2回は「生命か、生計か?究極の選択」。
第3回は「管理社会vs市民の自由」。
第4回は「記録すること、記憶すること」。
テキストには筆者が近年撮影したロンドンの写真も多数掲載されています。
【面白かったところ】
〈デフォーtheモンスター〉
ダニエル・デフォーと言えば『ロビンソン・クルーソー』、18世紀イギリスのジャーナリストであり小説家です。
しかし経歴を読むと、小説は、むしろ彼の71年の長い人生の最後十余年に花を添えたのみ、という印象を拭えません。
現代では1人分の業績とは到底信じられないことをしています。
メインの活動はカルヴァン派プロテスタントのジャーナリストです。
『生粋(きっすい)のイギリス人』、『非国教徒処理の近道』などの政治パンフレットを出版。
イギリス商業、貿易の策や商人道徳、宗教問題について論じました。
一番おどろいたのはスパイ活動です。
ウィキペディアと日本大百科全書によると、デフォーはのちのイギリス首相であるロバート・ハーリーの情報係として、スコットランドとイングランドの統一に一躍買ったと書かれています。
他には商人としての顔があります。
靴下商人、ジャコウネコの商売に投資、レンガとタイルの工場を運営などの経済活動を営んでいました。
潜水鐘という金属の鐘形潜水用具を使い、難破船から宝物をサルヴェージするという、盗賊まがいのあやしい事業にも投資していました。
生涯に何回も破産して投獄*1。
私生活では、1684年に樽商人の娘メアリー=タフリーと結婚し2男6女を儲けています。
怪物的なバイタリティにあふれた活動履歴です。
ちなみにアメリカで著作権の切れた世界の名作を無償で提供してくれるプロジェクトグーテンベルク*2
からデフォーの書いた『ロビンソン・クルーソー』、『モル・フランダーズ』、政治パンフレットなどの原文が無料配布されています。
試しに『生粋のイギリス人』をダウンロードしてみました。
多少ぎこちない文章ですが(昔と比べたらずっと自然ですが)読むことが出来ました。
〈デフォーとウェーバー〉
20世紀初期にマックス・ウェーバーというドイツの思想家がいました。*4
ウェーバーが著作『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(略して『プロ論』)でデフォーと『ロビンソン・クルーソー』について言及しています。
『プロ論』の要旨は「近代資本主義の合理的生活態度はキリスト教的禁欲の精神から生れ出た」というものです。
その変化の様子を、ジョン・バニアン『天路歴程』*5のクリスチャンから、デフォー『ロビンソン・クルーソー』のロビンソンに例えています。*6
カルヴァン派プロテスタントは、神から見放されないよう孤独に天職に勤めていくうちに、布教もしつつお金も儲ける合理性を身に着けていくのです。
敬虔な神の信者でありながら(当時のカトリックの価値観では卑賎な)商業に熱心に励む。
ロビンソン・クルーソーというよりは、まさにデフォーのそのものだと私は思いました。
脱線しますが、私は高校の政治経済(倫理だったかな?)の先生は面白くて変わった方でした。
教科書に載っていなかった『プロ論』を授業で教えてくれたのです。
今思うと、こんな難しかったんですね。
高校生だった私にもわかりやすく教えてくれた、実力のある先生だったのだなあと思いました。
〈フライデー不憫〉
『ロビンソン・クルーソー』には、無人島での28年におよぶサバイバル生活を描いた第1部『ロビンソン・クルーソーの生涯と奇しくも驚くべき冒険』と、その後を描いた2部『ロビンソン・クルーソーのさらなる冒険』と3部『真面目な省察』があります。
第1部において、フライデーは孤独を癒す良き友として描かれているように見られます。
ですが第2部の後半の初めの方でフライデーあっさり死亡。
しかも「かわいそうな正直者のフライデー!」とひと言書かれているだけでその後一切フライデーの記述無しだそうです。
フライデーは当時の価値観では未開地原住民の奴隷。
ロビンソン・クルーソーやデフォーや同時代の読者にとってはモノと一緒だったのかもしれません。
ただ、もしかしたらロビンソン・クルーソーを理性的で合理的な人間に書くためにわざと書かなかったのかな?と思ったり。
28年連れ添った何かを失くしたら相当に悲しいと思うので、当時の読者も寂しく思ったんじゃないでしょうか。
そこを表現のためにあえて削除するデフォー。
超クール。
ほんと、フライデーの回想シーンくらいあってもよくない?
ちなみにウィキペディアによると『ロビンソン・クルーソー』の正式名称は『自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述』だそうです。
今のラノベタイトルっぽいですね。
〈ラストの詩がかっこいい〉
『ペストの記憶』もこのテキストも、ラストは主人公H.F.の書いた詩で締めくくられています。
あんまり上手な出来ではないそうですが、生命力にあふれていてやはりデフォー自身を想起させます。
A dreadful plague in London was
In the year sixty-five, which swept an handred thousand souls
Away, yet I alive!
H.F.
時は千六百六十五年
恐怖のペスト、ロンドンを襲う
消された命はざっと十万
それでもぼくは生きている!
H.F.
上記の翻訳は筆者の訳です。
1973年に出版された平井正穂訳の詩は最後が『されどわれ生きながらえてあり』。
武田訳の方が生き残った複雑な思いと大きな喜びが感じられて気に入っています。
清濁あわせのむ混沌としたデフォー自身が、ペストの怖さより印象的だというお話でした。
ちなみにこちらで『ペストの記憶』の地図を配布されています。
印刷するとわかりやすいのでおすすめです。
デフォー『ペストの記憶』(研究社)を読まれる方へ。本書の初めに、資料として当時のロンドンの地図が載っています。ただ、項目があまりに多く、特定の街路・建物を見つけるのが難しいため、座標つきの地図をウェブ上にアップしました。次のリンク先の右端をご覧ください。https://t.co/NQcLYpJ1IZ
— 武田将明/Masaaki Takeda (@swiftiana) 2020年4月20日
*1:当時破産者は罪人として投獄されたそうです。
*2:
マイケル・S・ハートが1971年に始めた、著作者の死後一定期間が経過して著作権が消失した作品全文をデジタル化してネット上で無償公開する計画。岡倉天心『茶の本』、新渡戸稲造『武士道』などが英文で読めます。これの日本版が「青空文庫」です。
*3:
プロジェクトグーテンベルクのデフォーのページのリンク。
無料で原文を読める。
*4:そういえば今年は没後100年だそうで、岩波新書と中公新書からどちらもウェーバーの本が出版されていました。彼の死因は、新型コロナウィルス以前に世界的パンデミックを起こした「スペイン風邪」による肺炎だそうです。
*5:ジョン・バニアンはイギリスの教会で神の教えを説く説教者であり、寓意物語(アレゴリー、物事を暗示的に表現する方法)作家。『天路歴程』は彼の書いた代表的な寓意物語。主人公のクリスチャン(基督者とも訳される)が「虚栄の市」や奈落の王「アポルオン」との死闘を経て神の国に至るお話。世界中のプロテスタントに広く読まれている本だそうです。
*6:ウェーバーは同時代のダブリン大学教授、英文学史学者のエドワード・ダウデン言葉からの引用として『ロビンソン・クルーソー』に触れています。18世紀当時のカルヴァン派プロテスタントを知る上でデフォーは重要人物だったようです。ちなみにダウデンの『Puritan and Anglican』(ピューリタンと英国教会信者)はAmazonのkindleで読めます。
Puritan and Anglican, Studies in Literature (English Edition)
- 作者:Dowden, Edward
- 発売日: 2016/06/12
- メディア: Kindle版
岩波書店沼へようこそ『読書術』加藤周一著(1962年初版)
今週のお題「読書感想文」
私が岩波書店沼(?)に足を踏み入れたのは、この本でこの一文に出会ったからです。
加藤周一は「第一に聖書であり、第二にギリシャ思想を代表するいくつかの本」が西洋文化の源流だってっていっているけれど、
「西洋」みたいな巨大な概念をその2つが源流って言い切っちゃっていいの?
聖書と古代ギリシャ古典を読んだらだいたい「西洋」わかるってこと?
私は子供たちに何を教えるべきかとよく考えるけど、
学校教育の基礎は西洋からの流れもあるなって思うのだけれど、
それは古代ギリシャ古典を読めばつかめるということ?
こう思ったのを覚えています。
西洋思想の一つの特徴は、精神と肉体、観念と物質、主観と客観、形と素材、概念と実際などの対立をするどく意識し、その関係をつきつめることにあると考えられるからです。そういう対立のするどい意識は、プラトンに典型的に現れています。
ほんまかいな~?
ということで私は加藤周一おすすめプラトンの『ソクラテスの弁明』岩波文庫版を買いました。
『読書術』が岩波現代文庫だったので、岩波つながりです。
そこからです。
何か少しでも関係があれば岩波文庫を集めるようになったのは。
はっきり申します。読めません。わかりません。
でも買う。
いやまあ岩波文庫だったらいいんじゃない?
くらいでポイポイ買う。
アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』に出たからシェイクスピア『ソネット集』を買う。
教育ってあるからルソー『エミール』ラッセル『教育論』デューイ『学校と社会』松田道雄『育児の百科』を買う。
タイトルが面白い、ブレヒト『肝っ玉おっ母とその子どもたち』を買う。
『ハックルベリー・フィンの冒険』のマーク・トウェイン、なんか暗い?『人間とは何か』を買う。
買って直後は「ああここが引用元!」と確認して終わるだけです。
こんなミーハーで所有欲と自己顕示欲丸出しの買い方でいいのか?
うーん…
あなたの岩波書店はどこから?
私は加藤周一『読書術』から。
という、そんなお話でございました。
同時進行で読んでいた本が、よー清水著『「ファンタジー背景」描き方講座』だったり、
子供のプール見学をせずに読書論を読んでたら子供に「ちゃんと見て!」と言われたり(ごめんね)、
読んでいる時にあった出来事も、本と一緒に思い出されます。
それも読書の良いところですね。
読書用文鎮は南部鉄器のアマビエ様(南部鉄器工房 及富 様)
こちらは岩手県ご出身でいらっしゃる南部鉄器のアマビエ様です。
我が家の子供たちは、あの甘い黒煮豆が大好きです。
お正月でなくともよく作ってとリクエストを受けます。
黒豆は鉄と一緒に調理するとより黒くなる性質があるそうで、そのためにアマビエ様を我が家にお迎えしました。
お茶を入れるとき一緒に煮沸すれば鉄分を補給することもできる、才色兼備なアマビエ様。
たいへんにお可愛らしいお姿ですが、この小ささ…この重さ…もしかして分厚い文庫本でも抑えられる読書用文鎮に最適なのでは…?
習字用の文鎮としてお使いの方がいらっしゃったので、もしやと思い試してみると、まさにビンゴ。
うーんとってもキュートでユースフル。
もっとこのアマビエ様が好きになりました。
ちなみに押さえてもらってる本は『ペストの記憶 100分de名著』です。
疫病退散のアマビエ様にぴったりだと、何となく楽しくなるのでした。
ちなみに私が購入したのはこちら。