積読が山脈でござる🍀

拙者、四児母オタク主婦。積読本記録と妄想感想文でござる。育児や教育の本が多いです。

『読んでいない本について堂々と語る方法』を読まないで語ってみる(ピエール・バイヤール著。原書初版2007年)

 

f:id:keephappy:20200902000624j:image

なんてずるくて魅惑的なタイトル!

素敵すぎます、もうぜったい熟読する(笑)

 

ということで、まずは『読んでいない本について堂々と語る方法』を読まないで語ってみようと思います。

以下妄想です(о´∀`о)

 

 

読んだ内容のほぼ全て2週間後には忘れてしまう。

エビングハウス忘却曲線を見れば早期反復によって復旧は安易である。

だが初回の読書でさえ読みにくいのである、いわんや2回目をや

さらに脳には長期記憶と短期記憶がある。

短期記憶をつかさどる門番「海馬」の許しを得なければ、

長期記憶の座「前頭葉へたどり着くことあたわず。

どんなに素晴らしい論説もアイディアも、それらを得るのに費やした時間すら露と消える

2週間後には、悲しいかな、読んだ意味はほぼ失われているのだ。

読んでも読まなくても、結果はまったく同じなのである。

だったら想像で語ることに何の非があるのだろう。

表紙や裏表紙の要約、帯、表紙デザインから自由に内容を想像し、論理を構築し、自分で内容を精緻に構成する‥‥

そう。あえて言おう、でっち上げるべきであると!

それこそが自分の脳の活動を活発にさせ、結果として本を読むよりも遥かに自分のテクニックやイマジネーションを向上させるトレーニング効果がある。

他人の頭を借りて最もらしくオウム返しするなど、何の意味があるのだろうか。

表紙を見てただでっち上げればいいのだ。

自己を発掘せよ!

本は読まなくても良いのだ

 

‥‥って感じでどうでしょうか?

できる限り無茶苦茶言ってみました。楽しい。

なんて遊び心あふれるテーマでしょう、読む前からもう大好きです。

f:id:keephappy:20200902001022j:image

ところで今週のお題「読書感想文」ですね。

毎回それしか書いてないでござるよ(笑)

『本を読めなくなった人のための読書論』若松英輔著(2019年初版)

f:id:keephappy:20200831225741j:image

言葉は、多くを読むことよりも、深く感じることの方に圧倒的な意味があるからです。

 

ソーダ水のような清涼感ある読後です。

シュワシュワと爽やかに癒されます。

 

本をたくさん読んでいた人が、いつの間にか本が読めなくなってしまう。

そんな心もとない寂しい時にそっと寄り添ってくれる本です。

 

本が読めなくなったのは、内なる自分からのサイン。だから、読めない時は、無理をして読まなくていい。読めない本にも意味があるから、積読でもいい。

 

待つ読書、言葉と出会う、本と出会う。

その3つの視点から、読めない時は書いてみたり、ゆっくり読んでみたり、読書断食してみたりと、様々な本と私のあり方を紹介してくれています。

 

f:id:keephappy:20200831234253j:image

またこの表紙カバーの紙の質感が癒されるのです。

唐草模様?のエンボス加工がされているブルーイッシュグレイのマット紙で、サラサラとした手ざわりが気持ちがいいです。

 

f:id:keephappy:20200831233101j:image

ほんとうに本を読みたいのであれば、よい本を手にするだけでなく、ひとりの時間を確保しなくてはなりません。

そうそう、育児中はひとり時間がなかなか。

しかし今日は早めに寝てくれたので、ゆっくり読書ができました。

5分で『はみだしの人類学 ともに生きる方法』松村圭一郎著(2020年初版)

f:id:keephappy:20200830200530j:image

 

面白かったです!

よかった!よかったですー!

 先日の『スマホを捨てたい子どもたち』といい、人類学、かなり熱いです。

著者の大学の講義聴いてみたいなあ。

 

何が面白かったか

文化人類学と哲学なら、まだお話に共通点がありそうでしょう?

でも、異文化の話をしているはずなのに、

「わたし」の境界の問題は、自己以外の遺伝子を攻撃して健康を保つ免疫学

たった1つのほんとうの自分などおらず、個人の中に複数の自分が存在するという「分人(ぶんじん)」の概念は脳科学を思い起こさせます。

離れた分野をつなぐ画期的な概念だなあと思いました。

(すみません、脳科学で、タイミングによって使われている脳の部位が異なる、つまりタイミングによって自分が別人であるともいえる・・・みたいな話をどこかで聞いたのですが、ソースが思い出せません。見つけ次第追記します。)

 

概要

マクラが長くなりました。

この『はみだしの人類学』は、文化人類学という学問を理解するための「学びのきほん」を2時間で読める程度にまとめた本です。

人類学

人類とその文化を研究する学問。生物としての観点から人類の起原・形質・進化などを研究する形質人類学(自然人類学)と、文化の観点から研究する文化人類学とに大別される。

文化人類学

人類の社会・文化の側面を研究する学問生活様式やものの考え方、言語や慣習など、多様な人間の諸文化を、フィールドワークによって記録、記述し、それを比較研究して、文化の側面における人類の共通の法則性を見出そうとするものアメリカにおいて発達した。

ドグラ・マグラ〔1935〕〈夢野久作〉「たとへば文化人類学(ブンクヮジンルヰガク)、先史考古学、原始考古学なぞ云ふ学問は学術上無価値のものと云へやうか」

日本国語大辞典より) 

(『ドグラ・マグラ』内で学術上無価値とか言われているんですね、面白い。)

 

この『はみだしの人類学』では、「つながり」と「はみだし」をキーワードに、人類学の歴史と基本概念をていねいに説明されています。

 

 「つながり」には2種類あり、存在の輪郭を強化する「共感のつながり」と、存在の輪郭が溶けて「はみだし」たように働く「共鳴のつながり」があります。

 

「共感のつながり」SNSで”いいね”をもらった時起こります。

褒めてもらって嬉しいけれど、それは自分で自分を褒めた時とは違う、他者からの賞賛特有のもののはずです。

 

「共鳴のつながり」は「わたし」の中で他者のカテゴリーが増えると起こります。

出会った時には「エチオピア人」だけだったのが、「友人」「アムハラ語の先生」「ご近所さん」とカテゴリーが増えていく。

そのたびに「わたし」と同じに感じる要素も増えます。

そしてお互いの要素が交じり合い、「わたし」も「あなた」も出会う前とは違う何かに生まれ変わっていきます。これが共鳴です。

 

筆者はこれからの他者との向き合い方をこう締めくくっています。

「わたし」や「わたしたち」が変化するからこそ、周囲の人や環境も、自分自身も新たな目で捉え直すことができる。脅威に感じられた差異が可能性としての差異に変わる。それこそが、様々な差異に囲まれ、差異への憎悪が溢れるこの世界で、他者と共に生きていく方法なのではないか。 

 

著者像

松村圭一郎(まつむら・けいいちろう)

1975年、熊本県生まれ。京都大学総合人間学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け富と所得と分配、貧困や開発援助、海外出稼ぎなどについて研究。

著書

『所有と分配の人類学』『基本の30冊 文化人類学』『うしろめたさの人類学』他

 

f:id:keephappy:20200830200853j:image

『100分でメディア論』でも出てきたサイードオリエンタリズム論。

よくこんなことに気付けたと驚愕しきりです。

発見の経緯が気になります。

また、2つの違うものが交じり合ってより良いものが誕生というところ、

『モモ』のところでも言っていたヘーゲルの「アウフヘーベン」に似てる気がします。

遠い昔の倫理の授業の記憶に頼らず、改めてヘーゲルの本も読んでみたいです。 

 

 

『言語起源論 旋律と音楽的模倣について』ルソー著(初版1763年ごろ)

f:id:keephappy:20200829154347j:image

 

積読メモです(`・ω・´)キリッ

 

表紙概要

ルソーが言語の起源と本質を論じた著作。言語の本質とは情念の表現であり、もとは言語と音楽の起源は同一であったと言う。言語の起源と変遷、諸言語の地理的差異、音楽の起源、旋律、和声の原理と歴史が分析され、南方と北方の言語の抑揚の相違、言語の現状が言語の変遷といかに関係しているかなどが論じられる。

 

目次

第1章  われわれの考えを伝えるための様々な方法について

 

第2章 ことばの最初の発明は欲求に由来するのではなく、情念に由来するということ

 

第3章 最初の言語は比喩的なものだったにちがいないということ

 

第4章 最初の言語の特徴的性質、およびその言語がこおむったはずの変化について

 

第5章 文字表記について

 

第6章 ホメロスが文字を書けた可能性が高いかどうか

 

第7章 近代の韻律法について

 

第8章 諸言語の起源における一般的および地域的差異

 

第9章 南方の諸言語の形成

 

第10章 北方の諸言語の形成

 

第11章 この差異についての考察

 

第12章 音楽の起源

 

第13章 旋律について

 

第14章 和声について

 

第15章 われわれの最も強烈な感覚はしばしば精神的な印象によって作用するということ

 

第16章 色と音(おん)の間の誤った類似性

 

第17章 みずからの芸術にとって有害な音楽形の誤り

 

第18章 ギリシャ人たちの音楽体系は我々のものとは無関係であったこと

 

第19章 どのようにして音楽は退廃したか

 

第20章 言語と政体の関係

 

 

ルソー

ジャン・ジャック・ルソー

18世紀フランスを代表する思想家、小説家。楽家でもある。

著作

『学問芸術論』

『人間不平等起源論』

『社会契約論』

『エミール』

 

ちなみに『エミール』は教育書ですが、これを書くずっと以前に、実の子供を5人、育てられずに孤児院へ送っています。

 

1745年、一生の伴侶(はんりょ)となり1768年に結婚するテレーズ・ルバスールThérèse Levasseur(1721―1801)と知り合い、同棲(どうせい)を始める。テレーズとの間に5人の子供が誕生、すべて孤児院へ送られる。捨て子は当時珍しいことではなかったが、この事件は、将来、ルソーの心の重荷となる。(日本大百科全書より)

 

明治維新後、自由民権運動とともに中江兆民による翻訳もある『社会契約論(民約論)』のルソーが、明治後期には、自然主義の文学者島崎藤村などに『告白録』のルソーが、教育界には『エミール』のルソーが、影響を及ぼしてきた。(同上)

 

エミール、古めかしすぎて日本の教育には影響与えていないと思っていました。

 

 

他、言語の起源について論じた古典。

 

ヘルダー『言語起源論考』

(Johann Gottfried von Herder ヨハン=ゴットフリート=フォン─)

ドイツの哲学者、文学者。自然と歴史の発展の中に神を直観する立場から、自然、感情、民族的個性の尊重を説き、シュトゥルム・ウント・ドラング運動に理論的指針を与えた。著「言語起源論考」「人類歴史哲学考」など。(一七四四~一八〇三)
 (日本国語大辞典より引用)

ドイツの哲学者・文学者。1760年から64年にカントの講義を聴講。若き日のゲーテとともにドイツの文学革新運動「疾風怒濤」を推し進めた。主著は「人間の歴史哲学考」など。

(100分de名著「カント 純粋理性批判」より引用)

 

後にたもとを分かちますが、若い頃にゲーテと親交があり、カントを尊敬していたようです。

 

f:id:keephappy:20200829164049j:image

うむ、難しくて読めない(←あかんやろー!)

うわーん、面白そうな本と読める本は別なのでござる!(´;Д;`)

5分で『スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方』山極寿一著(2020年初版)‥‥は語れなかった。

f:id:keephappy:20200824143118j:image
拙者スマホ大好きでござる心の潤いを捨てたくないでござる!
(´;Д;`)

スマホでの人間関係に疲れた子供達を慰めるお話かと思ったのですが、

スマホ、特にSNSが連綿と続く人類種の性質に合わない、という内容で、読後ションボリ。

しかしひと晩考えてみて、実は高校生への『人類学、おもろいで。京大おいで』というメッセージなのでは?と気付きストンと腑に落ちたのでした。

 

 

拙者のモヤモヤしたところ

  • 筆者がSNSを使っていないのに否定している。筆者はスマホではなくガラケーユーザー。(Eメールやネットを使っていないわけではない。スマホでのSNSのみ批判)

 

  • 京大総長である筆者が質問しても、子ゴリラである受験前の高校生達は唯々諾々と賛成するだけではなかろうか(筆者経歴は下記。『白い巨塔財前五郎の3レベルくらい上?)

 

  • 参考文献が書いていない。成否を確かめたり内容を吟味するにはどうしたらいいのか。
f:id:keephappy:20200824145421p:image

 

目次

第1章 スマホだけでつながると言う不安 ゴリラ学者が感じる人間社会の変化

 

(‥‥うぬぅ‥‥SNS否定は賛成できかねる‥‥)

 

 

第2章 僕はこうしてゴリラになった 生物としての人間を知るために

 

サル学のお話、とんでもなく面白いです。

 

  • かつての人間社会を知る方法は、進化的、系統的に近い種から類推するのが良い。現代に生きている猿を知ることが人間を知る近道

 

  • サルだけでなく「人間以外の生物はすべて社会と言われるものを持っている」と最初に主張したのは日本の研究者、今西錦司である。著者の師匠、猪谷純一郎さんのそのまた師匠でもある。(動物にも社会を編むものがいると言う一種アニミズム的な考えは西洋の学者の案では無いだろうなとは思っていたけれど、まさか日本人とは)

 

  • 文化人類学のフィールドワークは研究対象の村落に長期滞在することが重要だそうだが、著者は全く同じことをゴリラの群れに対してしている。凄まじい。ゴリラ国へ留学するがごとし。

 

  • “人間同士が経験を共有できるのは言葉によってフィクションを作ることができるため”とあるがユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』、吉本隆明共同幻想論でも集団が共通のイメージを持つことで協力した活動がしやすくなるとある。人類学ではこの説は一般的なのだろうか。

 

  • ゴリラのクエスチョンバークと呼ばれる声をきいてみたかった。YouTubeでは見つからなかった。

   🦍「グッグフーム

 

  • 目を見つめるのはニホンザルは角上から角下への威嚇、ゴリラはたくさんの意味を持つようである。人間が見つめ合う時、威嚇するだけでは無いように。(小学生の頃、長野県にてニホンザルの目を見て威嚇される体験をした。ゴリラとの種の違いを感じて面白かった)

 

  • 群れにいる子ゴリラはお父さんであるシルバーバックが子育てするようだ。森の中で目立つ白い背中は、子ゴリラたちが追いかけやすいようにかもしれない。

 

 

第3章 言葉は人間に何をもたらしたのか ゴリラから見た人間社会

 

  • 言葉はポータブル。言葉を得た人間はフィクションを生み出した。人間の認知能力は、言葉の発明によっていちど作り替えられている。これは「認知革命」と呼ばれる。(2011年初版ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』にもあった)
f:id:keephappy:20200828143556j:image

 

 

第4章 人間らしさって何? 皆で食べ、育て、踊る人間の不思議

 

  • 共食、共同保育‥‥食物分配は育児負担が大きい社会で起こる。多産と長期発育が食料分配を促す。また、脳の大きさよりも食料分配が共感力(アザー・リガーディング・ビヘイビア)の要因になっていると予想されている。

 

  • 音楽‥‥共感力を向上させるのは音楽である。言葉の通じない赤ちゃんにかける言葉「マザーリーズ」にはピッチが高く、変化の幅が広く本が長めであり、繰り返しが多いなど世界共通の特徴がある。これらが音楽へ進化していったのではないかと筆者は考えている。(ジャン・ジャック・ルソー『言語起源論  旋律と音楽的模倣について』から着想?)
f:id:keephappy:20200828143537j:image
  • 踊り‥‥筆者の考える、二速歩行によって人間が得た3つのうちの1つ。感情を伝える身体表現として、ゴリラもドラミングなどがある。

 

(踊りについての説明が少なかったかなぁ。ここもっと読みたかった)

 

 

第5章 生物としての自覚を取り戻せ AIに支配されないために

 

(‥‥うぬぅ‥‥ここもあんまり共感できない‥‥)

 

 

第6章 未来の社会の生き方 生活をデザインするユートピア

 

以下の言葉は勉強になりました。

 

  • VUCA(ブーカ)‥‥現在は、可動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字をとっての時代と呼ばれている。

 

  • ベーシックインカム‥‥就労や所得などに関係なく、政府が全国民に定期的かつ無条件に最低限の生活を送るのに必要な現金を個人単位に支給する制度

 

  • プラネタリー・バウンダリー‥‥地球の限界。それを越えなければ人類は将来も発展と繁栄を続けられるが、超えると急激な、あるいは取り返しのつかない環境変化が生じる可能性がある境界のこと

 

  • 容中律‥‥肯定でも否定でもなく、肯定でも否定でもある、とする論理

 

  • 排中律‥‥どのような命題も進化技のいずれかであるとする論理

 

  • 創発‥‥個々の単純な動きが相互に作用することで、全体では思いもよらない高度な秩序が生まれること(←カオス理論?)
f:id:keephappy:20200824145435p:image

 

著者像

山極寿一(やまぎわ・じゅいち)著

1952年東京都生まれ。霊長類学・人類学者。

2014年から京都大学総長、2017年6月から2千19年6月まで国立大学協会会長、2千17年10月から日本学術会議会長を兼任。

著作に『「サル化」する人間社会』、『京大式おもろい勉強法』、『ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」』など。

f:id:keephappy:20200824145502p:image

 

 

この本は高校生が読むべきだ

スマホを捨てたいと言うけれども、そもそも中高生はそんなにスマホ持っているのでしょうか。

内閣府調査によると、2019年、高校生では91.5%、中学生では53.5%がスマホを所持しているとのことです。

高校生のスマホ普及率9割越え。持っていない子の方が圧倒的少数派なのですね。

LINEのクラス全体のルームや既読付け、親からGPSで監視など、相当な拘束力を持つに違いありません。

スマホ、特にSNSによる人類種の本質にそぐわないコミュニケーションに悩んでいる子どもたちへ、

「本来の人類に立ち返って、必要なコミニケーションとはどのようなものか考えてみるのもいいよ、面白い事をしているから、京大へおいで」

と言う,、スマホSNSが子供に与える悪影響の科学的検証というよりは著者の人類学への招待メッセージなのかもしれないと思ったのでした。

拙者は‥‥捨てない‥‥

f:id:keephappy:20200828154003j:image

ブログタイトルとペンネームを変えました

f:id:keephappy:20200826105520j:image

20200828

ブログタイトル

(旧)【読書でござる🍀】

(新)積読が山脈でござる🍀】

 

ペンネーム

(旧)四ツ葉かーちゃん🍀

(新)よつば🍀

 

ブログタイトルを変えたのは積読本メモの記事が1番多くなったからで、ペンネームを変えたのはツイッターアカウントネームと表記方法を統一したかったからです。

両方とも私の可愛い妹に決めてもらいました。

(拙者はシスコンなのでござる)

今日読もうと思っているのはルソー『言語起源論』と山極寿一『スマホを捨てたい子どもたち』で、聴こうと思っているのはユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』です。

こんなにたくさん長くブログが続いたことがなかったので「本」と言うテーマが自分に合っているのかもしれません。

細く長く楽しく続けていければと思います。

5分で『ファクトフルネス』。ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド(2019年初版)

20200827

f:id:keephappy:20200721114000j:image

 私の最推し癒し本です。

日本語版2回、英語版1回通しました。

下の可愛いわんにゃん写真同じくらい癒されます、本気です。

f:id:keephappy:20200826151841j:image

 

基本情報

  • 世界的ベストセラー *1
  • 現実のデータに基づく視点から見た国際問題について、世界は少しずつ良くなっているよ、と書いてある。
  • 他書と比べて参考文献が多い。データのソースがたどりやすい。
  • ハンス・ロスリングは公衆衛生学を専門とする医師であり統計学者。息子夫婦と「ギャップマインダー」を設立。2017年、すい臓がんで亡くなる。
  • ビル・ゲイツが2018年大学卒業の希望者全員にこの本を配布した。*2

 

目次

第一章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み

先進国と発展途上国のように、「あの人たち」と「私たち」で世界を二分することは出来ない。

分断された構図は理解しやすいが、それは事実とは違う。世界の大半がその中間層にいる。

世界はもっと複雑である。

新しい認識の方法として収入によって4分割する方法を提案したい。

文化の違いより収入の量の方が生活の仕方を決める要因になるからだ。

最貧困のレベル1はどの国のどの文化でも地面に寝るしかない。

また富裕層のレベル4ではどの国のどの文化でも、お湯は鉄瓶で火を起こして沸かさずティファールのような電気ケトルを使う。

 

第二章 ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み

ネガティブなニュースはいいニュースより圧倒的に目立つ。

極度の貧困の中で暮らす人々の割合は1966年は50%だった。

今は?変化なし?悪化している?

実は2017年には9%に激減している。貧困が撲滅されていないのはよい結果とは決して言えないが、改善されいるのも間違いはない。

悪化はしてないのだ。

 

第三章 直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み

世界の人口は直線的にひたすらに増え続け、食糧、エネルギーなどの問題も増加すると思ってはいないだろうか。

誕生する子供の数のグラフはすでに横ばいであり、2017年の世界人口は76億人だが、2100年ごろには100~120億人で安定するというのが国連の人口学専門家の見解だ。

統計のグラフにはいろいろな形がある。

直線ばかりだと思い込まず、S字カーブ、釣り鐘型など、どれに当てはまるか考えよう。

 

第四章 恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み。

恐怖と危険は違う。

今自分の国で蛇の毒で死ぬ確率は?飛行機事故は?テロや戦争では?核兵器放射線被ばくは?

どれだけ自分が危ないかというリスク(=危険度×頻度)を考える。

 

第五章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み

数字は必ず他のデータと比較する。

2018年、世界で420万人の赤ちゃんが亡くなった。

これは「悲劇的な悪化を示す事」なのか。

答えはNO、1950年は1440万人である。

悪化か改善かは、前後の数字が無いと決して判断できない。

 

第六章 パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み

パターンやステレオタイプに当てはめて判断しない。

例えば「建てかけた途中の家」に住む人々を見た時、資金や建築業者など計画に問題があったと思ってしまわないだろうか。

自国ではそうでも他国では違う場合がある。

チュニジアでは、銀行口座を開けない、インフレでもレンガは価値が下がらない、などの理由から、貯金ではなくレンガを買う。

そして盗まれないように家を少しずつ作っていく。

こうして「建てかけた途中の家」が出来上がる。

自分以外は愚かだと決めつけず、その状況では最適解かもしれないと考えて行動する。

 

第七章 宿命本能「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み。

特定の価値観や振る舞いが文化に根差していて、変わらないし変えることができないと思いんでしまう。

人も国も宗教も文化もゆっくりと必ず変化する。

人権に敏感なスウェーデンも1960年代は中絶は違法だった。

韓国や日本の「男児の流儀」だと言って子供や両親の世話を妻にさせる男性たちも、変わらないことがあるだろうか。

 

第八章 単純化本能「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み

一つの視点だけでは世界は理解できない。

活動家や専門家は自分の専門知識だけですべてを解決できると思いこみがちだ。

気候変動の活動家は太陽光発電に関することならなんでも口を出したがるし、医師は予防より治療を勧めてしまうことがある。

 

第九章 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み

犯人よりもシステムに注目しよう。

誰かを責めると他の原因に目がむかなくなり問題をくり返すだけだ。

製薬会社が資金回収の難しい薬の研究をしないのは、取締役たちの責任だろうか。

上場企業の場合意思決定権は株主にあり、例えばノバルティスの場合、株主は退職年金基金が多くを占める。

長年勤め上げた会社をリタイアしたおじいちゃんおばあちゃんが、世界を苦しめる犯人なのだろうか?

 

第十章 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

焦り本能は世界の見方を歪める最悪の本能であり「なんでも良いから今すぐ」や「もうあきらめよう」と愚かな判断をしてしまう。

今では「コンゾ」と呼ばれる未知の病気がモザンビークのメンバで流行した時、著者は市長の都市ロックダウンを止めなかった。

メンバの道路は封鎖され、バスが来ないと船で迂回した母子とその船の漁師は溺死する事件が起こった。

しかしその後の研究によって「コンゾ」はキャッサバ(タピオカの材料)の未処理の毒が原因であり、感染症ではなかった事が判明した。

時期尚早な判断が取り返しのつかない結果を招くことがある。

複雑な問題を解決する対策は、たいてい副作用がある。

焦りで決めず、効果を観測して確かめるのが重要である。

 

f:id:keephappy:20200826070416j:image

 ひと言

良い本なのでいっぱい語りたいけれど(たまに崩れる言葉使いとかツッコミどころも)だからこそ要点だけにしてみました。

ハンス・ロスリングの自伝とも遺言とも読める名著です。

妄想感想文の記事も書きたいです。

読んで〜!超読んで〜!

 

 

*1

2020年8月現在アマゾンレビューが日本語訳で2400越え、英語原書で3600越え。

産経新聞によると販売冊数は全世界で200万部。

https://www.google.co.jp/amp/s/www.sankei.com/life/amp/200418/lif2004180020-a.html

 

*2

ビル・ゲイツがこの本を大学生に無料で電子版を配布。

フォーブスジャパンのこちらの記事から。

ちなみにハンス・ロスリングはビル・ゲイツの友人だった。

https://forbesjapan.com/articles/detail/21464/1/1/1